日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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120八.同時多発テロ事件後の日本におけるイスラームの動向2001年9月11日、アメリカで起きた同時多発テロ事件は、犯人がムスリムとされたことで、イスラームに対する厳しい目が向けられた。しかしその後、テロ攻撃の名のもとに、アメリカの主導によって開始されたアフガニスタンやイラクへの一方的な過剰報復攻撃には、有識者からも批判的な声が上がり、イスラームはその影だけではなく、光の部分についてもこれまでにない関心が集まった。イスラームの本質について問う声も広がり、学会や宗教界でもイスラームに関するシンポジウムが頻繁に開催された。出版界ではイスラームの広い分野にわたって書籍が出版され、一時大型書店のコーナーにはイスラーム書籍が並んだ。そうした書籍の中には、イスラーム諸国で学び、帰国後大学の教壇に立つ「日本ムスリム協会」関係者の活躍もあった。その主な顔触れは黒田、鈴木、奥田敦(カマール)、中田、渥美、水谷周(アミーン)などが挙げられる。最近の出来事として注目されるのは、『イスラーム信仰叢書』全10巻が国書刊行会から出版されることである。これには総編集者に水谷、編著者には飯森、河田尚子(ヤスミーン)、協力者には樋口が当たり、他に13人の日本人ムスリムがそれぞれの知識と体験をもとに思うところを書き下ろすもので、これまでになかった企画であり、注目したいところである。一時的なブームが沈静化しても、日本の大学がイスラーム教学やイスラーム圏の地域研究、アラビア語教育を教科として採用したこともあって、学生たちの卒業論文や修士論文のテーマにもイスラーム関

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