日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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167イスラームと日本の仏教 ―無関係からの出発―つまりイスラームでは、浄土教で主張された在ざい家け主義が当初より徹底していたのである。そしてイスラームの在家主義は、信仰の活力維持に積極的に貢献してきたと言えよう。それは常に一部の階層の人たちの立場からではなく、民衆のあり方や総意を如実に反映する動向を生み出す源泉となってきた。そしてこの事情こそは現代世界という急速な変化を見せる世の中においても、しなる竹のような柔軟性と強靭性をイスラームにもたらしていると考えられる。在家主義の下での懸念材料は、信仰箇条から逸脱する者の出現、あるいは浄土系で言う異い安あん心じんの問題である。過去の日本では僧侶の関与が見られるとともに、信者間の議論と説得で多くは解決されてきた。イスラームでは信者間においてそのような大衆浄化機能が常に働いていると言える。教育機関、青年ムスリム協会や様々な慈善団体の活動があるし、また礼拝所における輪座形式の議論などにより浄化の実が確保されている。在家主義による一般信者の社会各方面の最前線での活躍は、イスラームの本質に基づくあり方として、今後の世界でイスラームが信仰体系としてさらに躍進するかどうかに関し、決定的な役割を果たすことは間違いないだろう。六.勤行の意識以上の類似した諸点とは別に、少々異なる側面も取り上げておきたい。それはイスラーム独自の立場であり、日本仏教だけではなく欧米的な文化の脈絡とも、それなりに異なっているという内容である。

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