日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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182それこそ縄文時代から漢字、仏教、儒教…といろいろな文化を平然と取り入れて、それを自国の文化に融合させた歴史があるでしょう。そういう受容力の高さ、言い換えれば寛容性は、イスラームとも通じるのではないでしょうか。店田 私も1988年、イラン農村部の米作りの実態調査のため1ヶ月くらい滞在しましたが、当地の人々の寛容さやホスピタリティーを強く感じた記憶があります。片倉 イスラームは厳格だというイメージを持っている人が多いけれど、それがすべてではないんですよね。以前、断食月(ラマダン)に参加したとき、ムスリムの方に「あなたはムスリムではないのだから、無理しないで食べたらどう」と、ねぎらわれた経験があります。一方で厳格さが曖昧なわけではなく、カナダ滞在中に見かけたムスリムの方は、誰の監視もないのにきちんとラマダンを守っていらっしゃいました。豚肉もね、イスラームでは食べることを禁じられているけれど、これも食べなければ命に関わる状況や、知らずに食した場合には仕方がないとされているのでしょう。片山 そのとおりです。作家の曾野綾子さんが「ムスリムの人は教条的だから、ほかに食べるものがなくなっても豚肉には手を出さず、死を選ぶ」と発言されているのを聞いたことがありますが、イスラームに対するこの種の誤解が実に多いですね。無知がイスラームを怖れさせる森 私は1973年にイスラームに入信し、75年からマッカのウンム・アルクラー大学で学ぶ機会に恵まれましたが、当地では留学生の私に奨学金を与えてくれ、くじけそうなときには友人たちの

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