日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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187座談会 日本人が語る―イスラームと我々の未来しい。片倉 私も人類学者の習性で、つい出会った人に「あなたはどこの出身?」なんて、国籍を聞いてしまうの。もちろん皆、答えてくれるけれど、最後は必ずこういうんですよ、「出身がどこでも、私たちはみんなムスリムだから」。森 学生寮の門番はイエメン出身の若者で、よく私をお茶に誘ってくれました。あるとき、お茶を入れる彼の動きに違和感を覚え、よく見ると彼の指は左右とも6本ずつあった。聞くと足の指も6本だといいます。でも彼は、「指が4本も多いんだ、すごいだろう。アッラーからの贈り物だ」といって臆するところがない。また、同郷の友人からよくお金を借り倒されている寮生がいて、なぜ返ってこないとわかっているのに貸すのかと問いただしたことがあります。彼は「来世の審判のときに、アッラーに『なぜ持っていたのに貸さなかった』と聞かれたら弁明できない」と答えました。彼らは皆、「神と自分」という関係において正直であろうとしているのです。片倉 昔、梅棹忠夫さんや司馬遼太郎さんとお会いした機会に、「もし何らかの宗教を信奉しなければならないとしたら、何を選びますか」とお聞きしたことがあるんです。そうしたら、お二人とも「それやったらイスラームやろうな」とお答えになりました。梅棹先生はイスラームの魅力を「教区制も檀家制もなく、神様と自分という関係があるだけ。スッキリしてよろしい」とおっしゃっていましたよ。

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