日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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193座談会 日本人が語る―イスラームと我々の未来半を占めています。「三方一両得」を旨とするシャリーア奥田 ムスリムを受け入れる日本社会の側には変化が見られるのでしょうか。徳増 ムスリムにとっての生活の基本は、クルアーンにもとづいて実社会での規範をまとめたもので、シャリーアと呼ばれます。詳しくは専門家である森先生にご教示いただきたく思いますが、このシャリーアを、日本社会でも受け入れようとする動きが見られますね。企業や学校によっては、ムスリムにとって欠かせない礼拝を認めるようになりましたし、イスラームの食材を扱う店やレストランも数を伸ばしています。森 私が所長を務める拓殖大学 イスラーム研究所では、最近、海外に進出する日本企業からのアクセスが増えています。特に需要が高いのが、イスラームのハラールに関する正しい知識を教示してほしいという問い合わせですね。ハラールというのは、イスラーム法で「食べてもよい」とされているものを指し、イスラーム諸国が国際社会での存在感を増す中で注目され、産学協同での研究も活発化しています。また、イスラーム経済・金融への関心も高く、大学でも講演会が開催されるようになりました。経済は私の専門とは異なりますが、シャリーア的な側面から見ると、日本の商業、とりわけ近江商人の倫理である「売り手によし、買い手によし」、さらに進んで「三方によし(売り手・買い手・世間によし)」というのは、シャリーアにも通じる考え方だと思いますね。「自分だけではなく、まわりの人にもよくなくてはならない」という思想が、シャリーアの根底にはありますから。

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