日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
26/220

22 読め! 「創造なされた汝の主の御名によって。 かれは、凝血から人間を創られた」 読め! 「汝の主はもっとも尊貴なお方、 かれは筆によってお教えになった方、 人間に未知なることをお教えになった」(凝血章1〜5節)ムハンマドは最初、文字を読むのだと思って「私は読む者ではありません」と答えたが、実際に彼がしたのは言われた言葉の復唱であるから、ここでの「読め!」は、耳から覚えて朗唱する意味にもなる。その場合は、日本語では「誦め!」と訳される。実際に、「クルアーン」という名称そのものが「読まれるもの/誦まれるもの」を指す。「読め!/誦め!」という命令に対して読み上げるものが聖典ということになる。聖典というと書物の形をしているように思えるが、クルアーンの場合は、暗唱されているのがむしろ本体で、書物は文字を使ってそれを記録したものと言うことができる。ムハンマド時代には、クルアーンは弟子たちが彼に教わって暗唱するものであった。本の形にまとめられたのは、彼の没後20年近くたってからである。今日でも、イスラーム諸国を訪れると、モスクにはどこでもクルアーンを美しい声で朗唱する係がいる。そのような人びとはクルアーンをすべて暗記しているのが基本であるし、一般の信徒でもクルアーン全巻を暗唱している人はたくさんいる。聖典の暗記は、徳の高い信仰行為とされている。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です