日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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27イスラームとはそれは、クルアーンを人類に伝えるメッセンジャーである以上、ムハンマドこそ、そのメッセージをよく理解していたと考えられるからである。実際、クルアーンの内容は多くが総合的なガイドラインであり、それを実践するためには具体的で追加的な指示が必要とされた。たとえば、「礼拝を確立し、定められた喜捨をおさめなさい」(巡礼章78節ほか)という章句だけでは、どのように礼拝を行うのか、財産の中からどのくらい喜捨をすればよいのか、わからない。礼拝が日に5回ということも、クルアーンの中には明示されていない。そのような指示は、すべてムハンマドが具体的な実例を示し、それが信徒にとっての手本となった。クルアーンには、 汝らにとってアッラーの使徒〔ムハンマド〕は、アッラーと終末の日を望み、アッラーをしきりに思い出す者にとって、よき模範であった。(部族連合章21節)と明言されている。クルアーンのこの章句に従うムスリムは、ムハンマドを人生の「よき模範」とするのである。預言者としてのムハンマドの生涯を概括するならば、彼は血筋のいい生粋のアラブ人として生まれ、若き日は「アミーン(正直者)」として知られ、25歳で結婚してからは63歳で世を去るまで、よき家庭人として夫・父・祖父の役割を果たした。預言者と名乗ってからも、俗世を捨てるようなことはしなかった。生計も、最初の妻が豪商であり、彼自身が商業に従事して暮らしを立てていた。預言者となってからは、宗教指導者として弟子たちを率い、マディーナに移住してからは、共同体と国家の指導者として、

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