日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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32典クルアーンに対する信仰もよく保たれているし、現在でもイスラーム圏にはたくさんのクルアーン暗唱者がいる。今日、イスラームは「世界宗教の中で最も速く信徒が増加している」と言われる。とはいえ、20世紀は伝統的なイスラーム世界が激しく揺らいだ時代であった。1932年にサウジアラビア王国が二聖都を擁して正式に王国の樹立を宣言した時、イスラーム圏のほとんどが西欧の植民地支配下にあった。そして、独立する場合でも、国家のレベルでは西洋起源のナショナリズム、リベラリズム、社会主義などが広がっていたのである。イスラーム世界が国際的なレベルで再び姿を現したのは、1969年にサウジアラビアがモロッコ王国と共に、イスラーム首脳会議を呼びかけてからである。その決議によって、国連に加盟するイスラーム諸国が「イスラーム諸国会議機構」を結成し、今日に至っている。その一方、マッカへ向かっての日々の礼拝、毎年の巡礼は途切れることなく続いている。マッカ巡礼を終えた信徒は、その足でマディーナへ向かい、預言者モスクを訪れる。二聖都が世界中のムスリムを結び合わせる、というイスラームの姿は、おそらくこれからも変わらないであろう。読書案内 本章の内容に関連する著書を紹介いたします。 『イスラームとは何か│その宗教・社会・文化』講談社現代新書、1994年 『「クルアーン」―語りかけるイスラーム』岩波書店、2009年 『ムハンマド―イスラームの源流をたずねて』山川出版社、2002年 『イスラーム帝国のジハード』(興亡の世界史6)講談社、2006年

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