日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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49世界に広がるイスラーム建築 ―普遍性と多様性―リアにも、大ドームと特徴的な鉛筆型のミナレットを持つモスクが残る。イスラーム発生の地、およびそれを取り巻く乾燥地域の建築文化が普遍的様相として、各地へ普及したのである。武力によってイスラーム教徒の支配に巻き込まれ、新たな文化の波を被こうむる場合ばかりではなかった。イスラーム商人の商業活動や教団の布教活動とともに西アジアの建築文化が遠くの土地へ伝播する場合もあった。多様性の開花―風土に即した土着様式3つの文化伝播の波を被っても、イスラームの建築様式が統一されたわけではない。渡来様式は土地の持つ土着様式と折衷しながら取り入れられるので、地方色が盛り込まれる。そして、時の経過とともに次第に地方色が顕著になる。加えて、早い時期にイスラームが伝播したスペインから中央アジア一帯の中緯度乾燥地域、およびアナトリアとインドを加えた地域の外側には、異なる風土に即して、より土地に根差した建築文化でモスクを構築する伝統が色濃い。木造建築の系譜に、南方系と北方系がある。湿潤気候の地では、豊富な木材を用い、傾斜屋根を特徴とする木造モスクが造られ、中庭を持たないものも多い。南方系は、インド洋沿岸部の南インド、東南アジア、中国沿岸部に分布する。マディーナにある預言者のモスクも最初は棗椰子の幹を柱に用いて、棗椰子の葉で屋根をかけていたが、乾燥地域のアラビア

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