日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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59世界に広がるイスラーム建築 ―普遍性と多様性―過程で、イスラームを国教とした国、あるいは多くのムスリムを抱える国で、国立モスクにその様相が観察できる。そのデザインは大きく三つに分けられる。第一に新たな革新的な技術を誇示する現代様式、第二に前時代に規定されたイスラーム建築の括りの要素を混在させた折衷様式、第三に既存のある伝統的様式に依拠した復古様式である。現代様式は、20世紀前半から欧米でおこったモダニズムの血をひく。従来の歴史的様式建築から離れ、機能主義と合理主義を目指し、鉄筋コンクリートとガラスによる無装飾な建築がインターナショナルなスタイルとなった。この潮流は1970年代頃から、装飾性を取り戻そうとするポスト・モダン建築へとつながる。インドネシアのジャカルタに1954年にキリスト教徒の建築家シラバンによって設計された独立モスクでは、大ドームと屹きつ立りつするミナレット、それらを統括する中庭というイスラームの普遍性に基づく造形言語を用いるが、既存様式に依拠せず、鉄とステンレス、コンクリートとガラスという新素材と新技術を用い、新たな現代様式を生み出した[写真14]。大ドームを折板構造という現代技術に置き換え、普遍的イスラーム建築に挑戦するものもある。ただし、こうした挑戦は、1992年完成のローマのモスクのように欧米の建築はあるが、イスラーム教徒がマジョリティーの地域の実例は1990年以後減少する。折衷様式は、19世紀にヨーロッパで確立した「イスラーム建築」を、彼らがミックスしたのと同様な手法で混交し、新たなる汎イスラーム様式を築こうとする。1980年代からサウジアラビア政府によっ

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