日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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69世界に広がるイスラーム建築 ―普遍性と多様性―普遍性を目指しながら、土地の状況に即した多様な建築文化が育まれた。19世紀にはじまるイスラーム建築の覚醒にはじまり、第二次世界大戦後、世界のモスク建築は新たな時代へと踏み出した。今後、モスク建築はどのような道筋をたどるのだろう。多様性を鼓舞するイスラーム建築の側面を考えれば、モスク建築はいつの時代にあってもひとつの様式に収斂するわけではない。ハディースに以下のような一説がある。アブー・フライラによると、預言者は次のように言った。「モスクで行う集団礼拝は個人の家や市場でする礼拝より25段階も優っている。というのは汝らのうちだれでも身をよく浄めてから、礼拝することをただひたすらに望んでモスクに向かうならば、彼が一歩あゆむごとに神は彼を一段ずつ高め、モスクに達するまでに彼の罪をとり除かれるからである。そしていよいよモスクに入ると、彼は礼拝に没頭することになる。また彼が礼拝の場所に留まる間、天使達は『神よ、彼が穢れに染まらぬ限り、彼を赦し、恵みを与え給え』と祈る」と。一カアバを中心とした世界観を体現する場として、数多くの信者が一堂に礼拝できる清浄な場を目指し、今後もさまざまな挑戦が続いていくのであろう。その進化は見逃せない。一 牧野信也 訳『ハディース イスラーム伝承集成』(2001年 中公文庫)

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