日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
89/220

85イスラームのグローバリゼーションと日本本ではイスラーム教徒数もまだ少なく、イスラーム研究者の人数も限られている。いまだ欧米のような社会生活上の大きな問題は生じていないが、少数者の宗教であるという理由づけで、イスラームを客観的に学ぶことを避けてはならない。世界的に急増するイスラーム教徒の勢力を考えると、イスラーム世界のグローバリゼーションの理想が、「人間はすべて森羅万象と同様に神の被造物であり、すべて平等である」という理想が、やがて欧米中心のグローバリゼーションにとって代わる時代がくる可能性がある。よりよい対話と共存のために、今、日本人である私たちにできることは何か。同一の社会の中でのよりよい共存のためには、それぞれの宗教の教義などあまり知らなくても、人格的な交わりが重要であると「非ロゴス的対話」を強調する立場もある九 。それぞれの教義や思想について専門的に学ぶ機会がなくとも、人間同士としての平和な日常的なつきあいを行うことも、もちろん重要である。私もこの立場に賛同するものであるが、同時にそれぞれの思想を、偏見を排して客観的に学ぶことはさらに重要なことであると考える。特に日本人は知識欲が旺盛であり、歴史を生き延びて世界中に大きな影響を与えている異文化や他宗教を理解することの重要性を熟知する国民でもある。最後に、カトリックの神父で宗教学者のハンス・キュンクの以下の言葉を紹介したい。「宗教間の平和なくしては民族間の平和はない。宗教間の対話なくしては宗教間の平和はない。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です