日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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86宗教の基盤についての研究なくしては、宗教間の対話はない」十偏見と蔑視を排して、世界中で16億人に迫る信者数を要するイスラームを学び理解することは、平和的共存のために相手をよりよく知るだけではなく、日本人が日本人としてのアイデンティティを再確認することでもある。一 板垣雄三 著『イスラーム誤認』(2003年 岩波書店)9ページ 板垣は、イスラームは都市の宗教であるとして、独自の文明論に基づきイスラーム文明の近代性を主張しているが、この点が日本人のイスラームについてのもっとも大きな誤解であるとも言う。「私は、西暦7世紀にイスラーム文明が成立した時点から、人類の歴史は〝近代〞を迎えたと考えています」(『イスラーム誤認』227ページ)として、イスラームのアーバニズム(都市性)とモダニティー(近代性)が現代世界の礎となったことを論じている。(『イスラーム誤認』218〜37ページを参照)二 拙著『イスラームを学ぼう』(2007年 秋山書店)212〜49ページ、特に238ページを参照されたい。三 保護民政策はズインマと呼ばれるが、イスラーム支配下の領域に居住する聖典を共有する一神教徒(ユダヤ教徒、キリスト教徒)に対して、イスラームの支配者に服従することと、イスラームの支配を認めることを条件として、信教・居住・移動などの自由をあたえた契約に基づくシステムを意味している。この制度は紆余曲折を経ながらも1922年のオスマン帝国の滅亡まで、比較的うまく機能していた。保護民規定(ウマル規定)は、文言上はかなり厳しいものであったが、実際には柔軟に運用され、アッバース朝下では多神教徒であるゾロアスター教徒やヒンズー教徒、仏教徒も同様の保護と地位を与えられた。 拙著『イスラームの人間観・世界観』(2008年 筑波大学出版会)253〜60ページ、塩尻・池田 著『イスラームの生活を知る事典』(2006年再販 東京堂出版)6ページ、195〜6ページを参照されたい。四 拙著『イスラームを学ぼう』188〜92ページ参照。『イスラームの人間観・世界観』256〜7ページ。五 拙稿「永遠の聖地―神宮のご神縁によせて」『瑞垣』(2009年 神宮司庁)101〜7ページ。六 東隆眞 著『日本の仏教とイスラーム』(2002年 春秋社)七 イスラームの聖者崇敬に関する研究書としては、私市正年 著『イスラーム聖者』(1996年 講談社現代新書)が特筆される。

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