日本に生きるイスラーム ―過去・現在・未来―
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87イスラームのグローバリゼーションと日本八 ターレク・ラマダーン(Tariq Ramadan)Western Muslims and the Future of Islam, (Oxford University Press, 2004)90〜91ページ、210ページなどを参照。ターレク・ラマダーンはエジプトのムスリム同胞団の指導者として知られるハサン・バンナーの孫でもある。現在はオックスフォード大学教授。九 鎌田繁は、伝統的イスラーム社会で啓典の民の共存が成功的であったのは「教義については、互いに無知であった、あるいは無関心であった、というのも大きな理由ではなかったか、と思う」として、宗教間対話を成功させるために「言葉を超えた人格的交わり」である「非ロゴス的な交わり」を、言い換えると、教義論争や言葉による「理解」ではなく行動を通して人格的に学びあう「体解」を提唱している。(鎌田繁「イスラームの知と宗教間対話の意味」 星川啓慈・山梨有希子 編『グローバル時代の宗教間対話』(2004年 大正大学出版会)67〜74ページ。十 カトリックの神学者ハンス・キュンク(1928〜)は「地球倫理」の構築のために積極的に活動をしているが、宗教間の平和的共存を実現するためには、宗教が互いによく知りあうことが重要だとして、非ロゴス的な共存と同時に、ロゴス的な共存も主張している。Jonathan Magonet,Talking to the Others,(L.B.Tauris, 2003)19ページ。キュンクの主張には、可能なかぎり、他者を理解し他者の宗教を学ぶことの重要性がみられる。筆者 塩尻 和子 (しおじり かずこ)岡山県出身。大阪外国語大学アラビア語学科卒業。東京大学大学院博士課程単位取得。国立大学法人筑波大学理事・副学長。著書に『イスラームの人間観・世界観ー宗教思想の深淵へー』(2008年 筑波大学出版会)、『イスラームを学ぼう 実りある宗教間対話のために』(2007年 秋山書店)など。

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