サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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102大使館に戻れなくなったと答えた。警官は指を差して、次の角を曲がり、いくつかの信号の後を右に、そしていくつかの信号の後を左にと指導してくれたのだが、実際のところはまったく理解できなかったので、身振り手振りで、ゆっくりと私の前を走って案内して欲しいと頼んだ。こうして道が開かれ、大使館に一番近い交差点に到着した。私は警官に感謝の合図を送り、なんとかアパートに戻ることができた。この練習は1時間もかかった。その後私は、東西南北、あちこちの方向に走ってみたのだが、毎回、乗用車とトラックの列に驚くこととなり、警官に誘導を依頼して戻ることとなった。こうして2週間程度で自信をつけ、家族を乗せてドライブに出かけることができるようになった。新しい人生のステップを踏んだのだった。警官との間にはもうひとつ思い出がある。大使が私に弁護士の事務所へ相談に行くよう命じたときのことだ。弁護士の住所に自分の車で向かい、約束の20分前に到着したのだが、駐車できる場所を見つけることができなかった。約束の時間が近づいたので、車を停め、ウインカーをつけたところ、すぐに警官がやってきて広場に停車しないよういわれた。私は20分も駐車できる場所を探していたが見つからないで困っていること、このビルの弁護士と約束があり、あと数分しか時間がないことを説明した。警官は約束の詳細について聞いてきたので、私はあなたたちと同じように、約束の時間を守りたいのだと説明した。警官は、かかる時間はどれくらいかと聞いてきたので、15分であると答えたところ、警官は車の鍵を預かると答えた。車を降りて慌ててエレベーターに駆け込んだところで、不安と疑念が襲ってきた。名前もID番号も知らない警官に車の鍵を渡してしまったのだ。もし車も、警官も見つからなかっ

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