サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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110サウジアラビアの経済 農業国サウジアラビアサウジアラビアは世界一、二を争う産油国として知られているが、実は農業大国でもあることはそれほど知られていない。私も赴任するまで知らなかった。1993年4月、サウジアラビア外務省主催の外交団旅行で、カッシム、ハイル地方の視察に出かけた。カッシム州はリヤードの北に位置し、サウジアラビアの中でも保守的な伝統で知られている。豊かな土壌と地下水に恵まれ、昔から農業が盛んである。ブレイダ市の郊外にあるアル・ムトラク農場を見学した。面積8,000haの、典型的な個人経営農場である。80年代にサウジアラビア政府が奨励したので小麦の栽培をはじめ、小麦の作付面積は2,400haにもおよび、1万2,000トン収容のサイロが2基あった。農業用の土地は政府が無料でくれた由である。サウジアラビアで農業をする場合の問題は水である。1年に200㎖ぐらいしか雨が降らないので、井戸を掘って地下水を利用しなければならない。リヤード近辺では2,000mも掘らなければならないのに、カッシム州では800〜1,200mも掘れば地下水がある。カッシム州で農業が盛んなのは、このように地下水が比較的浅いところにあるためであった。汲み上げられた地下水は、ピボットという半径500mもの大型排水装置で撒かれる。この排水装置は一点を基点に、モーターで円周を描いて回転するので、畑は直径1㎞ほどの大きな円状になる。緑の巨大な円がいくつも連なって壮観であった。生産された小麦は、政府が国際価格の4、5倍にあたる1トン2,000リアルで買い上げてくれる。そのため増産に次ぐ増産で、1992年には400万トンと、サウジアラビアの消費量の4倍もの小麦

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