サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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144子供の頃の夢私は2009年6月、駐日サウジアラビア王国特命全権大使として東京に着任しました。キング・サウード大学経営管理学部長として教育にたずさわっていた私にとって、この突然の任命は大変な驚きでした。と同時に喜びも大きく、「ついにその時がきた!」という思いもありました。子供の時から抱いていた長年の夢が現実のものになったからです。夢が夢で終わらなかったのです。その嬉しさ、喜びは例えようがありませんでした。新前の大使ですが、私と日本との関わりはかなり古いのです。漠然とした日本への憧れを持つようになったのは、40年ほども昔のことになります。1971年5月、わが国のファイサル国王が五日間の日本公式訪問されました。この時に、日本のことがいろいろとテレビで報道されました。当時、まだ13歳だった私は、この映像を見て初めて日本という国を知り、日本に行ってみたいと思ったのです。そして、こんな工業や科学技術の進んだ国で勉強したいとの思いも生まれました。そんな子供の夢のような思いを家族にも打ち明けてみました。その時、母は一笑に付すどころか、「あなたが日本へ行ってみたかったら行ったらいい。ただし、将来は大使になってサウジアラビアと日本の架け橋になるのだ、というくらいの夢を持って行きなさい」と言ってくれました。優しいけれど、時に厳しく、先の読める立派な母でした。今回の私の大使就任を一番喜んでくれるはずの母は亡くなりました。残念ですが、私は少しは親孝行ができたような気がしています。

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