サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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146もう一つ笑い話のような珍談があります。留学したばかりの頃のことです。バスに乗ると「曲がりますのでご注意ください」というアナウンスが流れますね。日本語のよくわからなかった私は、それを「曲がりますので50円ください」と聞き間違えて、運転手に50円差し出し、「あと何回曲がりますか」と聞いたのです。運転手は「ノー、ノー」と言ってお金を受け取ってくれず、周りの乗客に笑われたことがありました。その当時は大変恥ずかしかったことですが、今は懐かしい思い出となっています。カルチャーショックと驚きの生活も日を重ねる毎に慣れてきました。日本に「習うより慣れよ」という諺がありますが、その通りです。物事は本を読んだり、人に教えられるよりも実際に接したり、行動するほうがよくわかるようです。私を支えてくれたものこんな私を優しく助け、励まし、勇気づけてくれたのが日本の人々でした。1980年の春、日本に来たばかりの私は、その年の夏、妻と静岡の本田さん宅で一週間のホームステイをしました。とても優しく親切なご家族で、いろいろなことを教えてもらいました。本田さんに限らず、日本の方は心が暖かく親切な人が多いようです。今日まで30年にわたって日本人と関わってきていますが、嫌な日本人にはほとんど会ったことがありません。私が学生だった頃、誰も私が駐日大使になるとは思っていなかったはずです。それなのに、私を北海道に案内してくれたり、たくさんの友達を紹介してくれました。日本人は何か得になるとか、利用でき

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