サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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27アラブとの70年─ 林 昂氏インタビューここで思い出していただきたいのは、当時のアラブ世界の風潮です。1952年7月、エジプトのナセル大佐(当時)が革命を成就したそのころ、彼が国民に呼びかけ、広く中東全域、アフリカの人々の心を揺さぶった言葉の要点をひとつあげると次のようになります。「われわれには、三つの大きな力があるのです。その1、われわれのこの地を経由しなければ、東から西へ、また西から東へ行かれない、この地の利。その2、われわれの心をひとつにする大いなる力。それは、1日5回、身はいずこにあろうとも、ひとつの方向マッカに面を向け、唯一の神アッラーを称となえつつ跪ひざまづき、そして祈っているではありませんか。その3、それなくしては戦車も軍艦も、そして飛行機も動かない石油。これがわれわれの足もとに眠っている。この3つの比べようのない大きな力。われわれはこの力をいかし、立ち上がらなければならない。今、そのときがきたのであります」と。実は私は、この『革命の哲理』を原文から訳しており、外務省の上川中近東書記官が、本書はスエズ運河問題、その背景をなす内外政治の源泉を知るうえで参考になる点が多々あると思われる…と外務省自らが印刷し、政界、官界の関係方面へ配布した(1956年9月)のです。このことをタリーキー局長に話すと、心なしか氏の表情が和らいだようで、私は続けて、「実は、山下社長はわが国の政財界の領りょう袖しゅうたちと極めて懇意であり、本件についても絶大な支援をしており、なかでも彼らの牙城である経団連の重鎮、石坂泰三氏は、陰に陽に山下社長を助けており、幸い

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