サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
39/222

35アラブとの70年─ 林 昂氏インタビュー林 話をじっくり聞かれる方ですね。人の話をじっくり聞いて決断する。そして意志の強い方です。強国に対しても堂々として臆するところがない方です。1973年 石油危機の打開に向かう― 1973年にも先生は大仕事をなさっておいでですね。第四次中東戦争の影響で石油危機が起こって、日本ではみなトイレットペーパーにも不自由するようなことがありました。林 三木さん(当時副総理)が特使として派遣されて、僕は通訳として同行したわけです。三木さんがファハド国王と、当時は国王になられる前で内務大臣を務めておられましたが、話をしていて、いきなり「林さん、こんなこと言っていいかしらね」と聞くわけです。「何ですか」と言ったら、「トイレットペーパーがない騒ぎのことだよ」と言うのです。「実情をそのまま言いましょう」と申しました。長い会議でしたが、ファハドさんは冒頭で「ご心配なさらないでください。日本はわれわれが兄事してきた国です」と言ってくれました。その瞬間、本当にありがたかったです。信頼関係がすでに醸成されていると思うから、そういう発言をしてくれたのでしょうね。― 林先生が『The Arab』に寄稿なさった文章に「惻そく隠いんの情」と書いておられて、最近「惻隠の情」というのはあまり聞かないけれども、そういう心根があるのだなと、しみじみ感じました。日本とサウジアラビアでは非常に近いメンタリティがあるのでしょうか。日本でも非常に信頼関係が

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です