サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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70八.「サファル(Safar:ヒジュラ暦[イスラーム暦]2月)」と「サファル(safar:旅)」しばらくは、午前中は物件探しを手伝ってくれる不動産業者の営業マンと東京を巡り、その後は退館時間まで事務所で勤務を行い、ホテルに戻るという日々が続いた。木曜日になり、同僚のユーセフ氏に同行して彼の住居を訪問した。彼の住居は大使館から車で20分ほどの距離にあり、狭い路地のひとつにあった。それは木造の2階にあるアパートで、面積は60㎡にも満たなかった。間取りは、寝室と居間があり、それに小さなキッチンとトイレが付いていた。ふたりでそのアパートにいると偶然にも東京一帯を地震が襲った。建物がぐらつき、壁や窓やドアの間から恐ろしい音が発生した。しかし同僚はそれを平然と受け止め、落ち着いた態度を示した。もう慣れっこだとのことだった。私は彼に家賃について質問した。というのも今までに見てきた物件の相場は、私の経済力では支払いが難しいものだったからである。同僚が提案したのは、最近見学した物件のひとつを妥協して受け入れてはどうかというものであった。私はじっくり考えたいと答えた。金曜日になり、4時半に仕事を終えた。ホテルの宿泊代を支払い、フロントにお世話になったお礼を伝え、新しいホテルに移動した。そこで目にしたのはあたかも地上の天国であるかのような、池と木々と美しいデザインの庭園であった。私たちの部屋は銀座のホテルの部屋より快適で、庭園に面しており、子どもたちにとって部屋の出入りが容易であった。夜になり、私たちはホテルにある天ぷら料理のレストランに行った。天ぷらとは、野菜やえびを小麦粉に絡めて油で揚げたものであり、塩味をつけずに炊

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