サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
78/222

74眠りについた。翌日の朝、手元に残った米ドルを数えてみると、100ドルにも満たなかった。アッラーに感謝を捧げた。その日、大使館に向かう道中で、私は自信と安心感に満ちていた。いつものように大使執務室に向かい、最初に部屋に入った。大使に、住居を見つけてそこに移動したこと、その住所と電話番号を報告した。私は今でもその電話番号を覚えている。「よん、よん、に、ご、よん、よん、ぜろ」、つまり、「4425440」である。大使は私が住居を見つけたことを祝福し、秘書にそれを伝え、日本の外務省に連絡してその住所と電話番号を登録させ、また、外交官IDの発行を急がせるよう命じた。大使執務室を出て、自分の事務室に向かい、デスクに置かれた処理が必要な業務をフォローしていたところ、電話が鳴った。ここで、この記憶の語りを一旦中止しよう。おそらく私の顔には何らかの徴候が見られたのだろう。「その電話は何だったの。誰がかけてきたの。なんだか怖い電話みたい。」とラシャーが聞いてくる。私はうなずき、それに同意した。私はコーヒーを頼み、しばし休息をとることにした。十.「サファル(Safar:ヒジュラ暦[イスラーム暦]2月)」と「サファル(safar:旅)」ふたたび記憶の語りに戻ろう。その電話はまったく予期していないものであった。電話をかけてきたのは大使であり、前置きもなく、いきなり「あなたは、そのような高級住宅に移る前に、ホテルの宿泊代は支払ったのか」と質問された。大使執務室にうかがう許可をえて入室し、大使にこう申し上げた。「私に質問される前に、ホテルに電話して確認していただければよろしかったのですが」と。そして許可を

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です