サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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86受付の岩瀬さんは、知り合った日本人の中で最も美しい日本人であった。八重歯がいっそう彼女の魅力を引き立てていた。適切に業務を行い、大使館来訪者をていねいに扱っていた。小林さんと岩瀬さんは英語の読み書きはよくできるのに、大使館スタッフと英語で会話をすることに関してはためらいがちだった。日本人は、行動に完璧さを求めるあまり、ミスをおかすことを恐れるためにそうなることを後になって知った。日本人は外国語を話すことができても、自信が持てない場合には話すことを避けるようだ。そのため、私は個人的なことで助けが必要な場合にはマコダさんに相談するしかなかった。針や糸やボタンなどの細かい生活用品の買い物を手伝ってくれたときのことを思い出す。彼女は私が説明に困らないよう、私が買いたい商品をメモに日本語で書いてくれた。それを持って店に入り、店員にそのメモを差し出したところ、店員はお辞儀をして私に敬意を示し、中へと入っていった。私は倉庫に入っていったのかと思っていたが、なかなか出てこない。長時間待ったが結局手ぶらで帰ることとなった。翌日も同じ店に入ったがまた同じであった。この状況をマコダさんに説明したところ彼女は驚いた様子もなく、「お店の人はあなたがサウジアラビア王国大使館のスタッフだということを知っていましたか」と質問してきた。私は「いいえ」と答えた。彼女は、私はその店員にサウジアラビア王国大使館のスタッフだと伝え、このリストの商品が必要だと説明しなければならないと語った。私は外交官IDを手にして再びその店に入り、つたない日本語で、私がサウジアラビア王国大使館から来たことを説明した。店員は、90度のお辞儀をして、リストを受け取るといつものように中に入り、数

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