サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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91より良き未来を約束するために待するよう心がけていたし、サウジアラビアから代表団が来日するたびにアラビア石油の役員や幹部との会談を行っていた。それらのパーティーは家庭的であたたかく、とくに彼の自宅への招待は最高だった。彼の妻は着物姿で玄関口で客を出迎え、正座でお辞儀をしていた。ホストとして非常に謙虚であり、テーブルには最上級の和牛である神戸牛の肉が並べられていた。神戸牛とはエアコンの効いた牛舎で注意深く育てられ、マッサージを受けて筋肉がリラックスするように定期的に放牧され、静かな音楽を聴き、さらにはその神経を落ち着かせるためにビールまで飲まされて飼育されるというのだが、これはすべて筋肉が硬くならないようにするためであり、肉と脂肪が交じり合い、その切り口を見ると、まるで白と黒の糸の織物のようであった。そのステーキを切り分けるのにフォークやナイフは必要なく、箸で十分であった。神戸牛に関する話を聞いたラシャーは空腹を覚え、神戸牛は私たちが家で食べていたステーキと同じなのか、とたずねてきたので私は、その値段は当時の私たちの経済力では購入できるものではなく、1㎏の神戸牛はオーストラリアやニュージーランドから輸入される牛肉の10㎏分に相当するので、それを食べられるのは上客が招かれるパーティーや大使館のレセプションくらいなのだ、と答えた。同じことは日本の米についてもいえる。外見はエジプト米に似ているが、値段は高く、1㎏の値段はタイの輸入米の3倍以上はするのだ。私は、果物はできる限り食べるようにしていた。それはアラビア語のことわざに乗っ取ったものである。ことわざでは「食べ物のよさは、少量で品質のいいものにある」とされている。日本の果物はさまざまあり、1個から購入できる。バナナの1房やりんご・オレンジ・梨の1個

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