サウジアラビアと日本 ―その素顔と絆―
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94また祭日などの特別な日には、手ごろな価格で泊まれるホテルで過ごしたりもした。箱根パレスホテルは中でもよく行ったホテルで、湖のほとりにあり、向かいには富士山がそびえていた。湖では水遊びのレジャー施設や観光施設が充実していた。しかし、この旅行の後には出費を控えなければならなかった。ある祭日に、私たちが寺院と滝があることで有名な日光に旅行に出かけたところ、その日は祭りの日であった。婦人たちは、その雰囲気を楽しみながら、ホテルのレストランで昼食をとって、子どもたちを楽しませることを希望した。昼前に到着したので、妻や子どもを公園に残し、私は同僚たちと近くのホテルのレストランのメニューを確認するために出かけた。しかし、すべてのレストランは予算を超えていた。そこで、ある考えが浮かんだので同僚に提案して同意を得た。その案とは、昼食は5つ星ホテルで食べるが、メニューをサウジアラビア料理であるカプサ(肉を使ったパエリアのようなもの)にするというものであった。カプサこそ、祭りの日にふさわしい料理であったし、なによりもボリュームがある。ホテルを選び、同僚のひとりに子どもや母親たちをロビーに呼び寄せるように頼んだ。子どもたちは勝手気ままに遊びだし、奇声をあげてはしゃぎはじめた。日本では、こういった子どもの行動は失礼なこととされているのではあるが。私たちが外交官であることを知ったホテルマンが歓迎しにきたので、料理長と相談したいと交渉した。料理長が驚きつつあらわれたので、祭りを祝う料理を食べるためにあなた方のレストランを選んだことを伝えた。その日はクリスマスであり、私たちにとってはおめでたい料理はカプサであると。そのレシピを英語で書いて渡したところ、料理長はアシスタントたちを集めて相談をはじめ、その料理に関する知識がないので提供できないとの回答だった。私は子どもたちにカプサを食べさせることを約束してしまったので、期待を裏切り、このような祭りの日の楽しみを奪うこと

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